恩送(おんく)り。それは、「今」を良くして「未来」に手渡すこと。
「今」とは、私たちが生きるこの社会であり、この国のことです。
この今をつくったのは、私たちではありません。
考えたことがありますか?
この「今」が、どれだけの人たちの想いや意志や愛の果てに
在るのかということを──。
今を生きる若者に問いたい。
「何かご不満ですか?」
と。
本書は、私たちのこの「今」がどのように受け継がれてきたのかを詳らかにしながら、
どんな時代でも変わらない「人間らしい生き方」とは何かを説き明かすものです。
* * *
毎年満開の桜を観て思うのです。
私は今、幾多の先達、祖先の「愛」を観ているのだと。
いつか満開の美しい姿を未来の子孫に観せるのだよ──
そんな思いで桜の苗木を植えてくれた結果として、
私たちは世界でも稀な花見文化を楽しむことができています。
その未来の子孫のためにとの愛の結晶こそが、桜の花々なのです。
日本人がこれほどまでに桜を愛で、何とも言えない懐かしさに浸るのは、
先祖の私たちへの恩送りを感じるからではないでしょうか。
次世代を生きる人々のために桜の苗木を植え続ける。
その思いを私たちも受け継いでいるのです。
(本文より)
▼主な内容(目次より)
● “JAL機奇跡の脱出劇”をもたらした、
日本人ならではの特性
● 他者の心に気を配る日本人の気質は、
なぜ生まれたのか?
● 「みんな仲良く、争わず」
縄文から現代に至る私たち日本人の素養
● 祖先のお陰で今がある。
そう思える社会だからこそ「恩送り」の思想が受け継がれた
● 「情」の発動とは、「誰かが悲しいと私も悲しい」
と思うその共感性にある
● AIの時代にこそ日本人的感性が必要とされる。
それが愛という名の「情」である
● ただ生きるのではなく、善く生きること。
それが人間らしい生き方
● 人間はどんな状況でも、
心の在り方しだいで変わることができる
● 自分一人でつくったものなどこの世界には何一つない。
すべては受け継いだもの
● 自然のなかに包まれていると、
なぜ私たちの心は懐かしさを感じるのか?
● …