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タイトル |
体験する手外科 第2巻(タイケンスルテゲカ ダイニカン) |
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本シリーズは,手外科診療の十分な経験と機会に恵まれない先生方への1つの「思考トレーニングツール」として企画され,第1巻「外傷編」は大好評! 第2巻「変性疾患・腫瘍編」では更に深く掘り下げ,ボリューム満点。「各症例に対応した手外科手術の航海図」「明日から使える『豆知識』が満載な珠玉の1冊」「第2巻も鳥谷部マジック炸裂!とくとご堪能あれ!」。第3巻「小児・先天異常編」は2024年発刊予定!
〜目次〜
Case16 48歳女性 右母指痛,運動障害
Case17 33歳男性 両手の痺れ
Case18 52歳女性 左母指痛
Case19 65歳男性 左手関節痛
Case20 67歳女性 左環指痛,運動障害
Case21 58歳男性 右肘痛,右環指・小指の痺れ
〜書評〜
評者:櫻庭 実(岩手医大形成外科)「ミラクル鳥谷部ワールドでベテラン術者の手術を追体験!」
日本手外科学会ホームページに掲載された手外科専門医名簿によると,手外科専門医保有者数は1,054名で,診療科に「形成外科」と明記されている医師数は約80名である。一方で形成外科の専門医は約3,500名おり,手外科専門医資格を保有しているのは計算上約2.3%と,極めて少数派といえる。著者は,その中で異才を放つ活躍をしている形成外科医であり,多くの整形外科医からも手外科専門医として一目置かれる存在である。その著者が渾身の力を込めて執筆した「体験する手外科」シリーズ第2巻が本書である。本シリーズでは,手外科における代表的な疾患についての診断,治療,後療法など多岐にわたる診療が,あたかも読者が体験するように執筆されている。第1巻では「外傷」が取り上げられ,1・2巻ともに症例提示をベースとして,豊富な臨床写真と図解により各疾患の理解を深めるように工夫されている。必要に応じて手術のキモを動画で閲覧できることが特長である。順調に経過した症例とそうでない症例を対比し,著者の反省も加味して症例を経験できる点は,他の医学書や手術書にはない解説手法である。本書を読んだ後には各疾患に対する理解が驚くほど深まっているはずである。第2巻では「変性疾患」と「腫瘍」に的を絞って執筆されており,疼痛,運動障害,痺れなどの主訴を呈する代表的な15症例について,ばね指,手根管症候群,CM関節症,de Quervain病,Bouchard結節,Heberden結節,肘部管症候群,骨囊腫,ガングリオン,神経鞘腫などさまざまな関連疾患と結びつけた解説がなされている。関連する症例も3例程度ずつ提示,第2巻を読破すると59症例の診断治療を体験したことになる仕掛けになっている。「できれば1日1症例に限った方が良いでしょう」と著者からのコメントがある。しかし,紹介される知識や経験だけでなく,関連事項も確認しながら体験を重ねていくと,1日1症例でも多いほどの分量がある。手外科診療の経験が少ない読者は,1症例に数日かけてじっくり読む方がよいかもしれない。さあ,皆で鳥谷部ワールドを体験しましょう!