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タイトル |
こころの支援と社会モデル(ココロノシエントシャカモデル) |
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こころの支援の現場に,何が起こっているのか?
日々揺れ動く社会構造との絶えざる折衝のなかで,支援者と被支援者の関係,支援の現場は今,どうなっているのか?--東京大学発「職域・地域架橋型:価値に基づく支援者育成」プログラム(TICPOC)開幕に始まるこの問いに,多彩な講師陣によるカッティングエッジな講義録+ポリフォニックな対話で応答する思考と熟議のレッスン。
個人の脳やこころの病理を治療しようと試みる「医学モデル」の限界,問題は個人の外部=社会との接面に生じるとする「社会モデル」の視点の浸透,社会構造の変容と精神保健医療福祉システムの再構築ーーこころの支援をめぐるパラダイムが大きく変動する現在,対人支援をどのように考え実践すべきか? 組織変革を構想するマクロの視点と、臨床場面で工夫を重ねるミクロの視点から,日々変わりゆく状況に応答する。
まえがき/笠井清登
はじめにーこころの支援と社会モデル(TICPOC C-2コース)とは何か/笠井清登
第1部 価値を問う
[解説]価値を問う/東畑開人
善き治療とは何かーあるいは,イワシの頭に癒されていいのか/東畑開人
Values-based Practice-価値観の多様性に向きあう実践医療倫理/榊原英輔
地域プライマリ・ケアにおける省察的実践/夏堀龍暢
精神分析の訓練と文化の問題/富樫公一
宗教者による地域社会の「支縁」/高瀬顕功
[座談会1]こころの支援と価値ー多元主義の中心で治療を語る/北中淳子・村井俊哉・東畑開人[司会]
第2部 トラウマインフォームドケアを深める
[解説]トラウマインフォームドケアを深める/笠井清登
トラウマインフォームドケアの概念と組織変革の方向性/亀岡智美
東日本大震災津波後のこころの健康と地域の支援/大塚耕太郎
中動態から考える/國分功一郎
[座談会2]変容する家族とケアーヤングケアラー,ゲートキーパー,トラウマケア/石井綾華・澁谷智子・鶴田信子・笠井さつき[司会]
第3部 精神保健政策の最前線と課題
[解説]精神保健政策の最前線と課題/熊倉陽介
地域共生社会におけるメンタルヘルスの戦略/竹島 正
対人支援サービスの質の評価とPDCAサイクル/水流聡子
薬物依存症地域支援の方法/松本俊彦
[座談会3]精神保健政策の現状と課題/藤井千代・山口創生・金原明子・三ツ井幸子・島本禎子・熊倉陽介[司会]
第4部 共同的な知の方法を求めて
[解説]共同的な知の方法/熊谷晋一郎
社会モデル/熊谷晋一郎
ピアサポートワーカーとコ・プロダクション/佐々木理恵・宮本有紀
ケアするのは誰か?-家父長制と資本制/上野千鶴子
[座談会4]「言うは易し,行うは難し」の共同創造/綾屋紗月・上岡陽江・熊谷晋一郎・佐々木理恵・里村嘉弘/宮本有紀[司会]
第5部 学ぶことを問い直す
[座談会5]学ぶことを問い直す/植田太郎・駒沢典子・入江 杏・柳田寿子・丸山歌織/熊倉陽介・須江泰子[司会]
TICPOCスタッフのかえりみちーセカンドステージに向けて/宮本有紀・金原明子・熊倉陽介