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タイトル |
精神科医療における暴力とケア(セイシンカイリョウニオケルボウリョクトケア) |
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精神科で起こる暴力とは何だろう。その暴力をケアするとは何だろう。本書は、その暴力が渦巻いている中に身を置いている方、外から暴力を考える方、精神科とは直接の関係のない哲学の世界から暴力を考える方、当事者、その家族……などさまざまな立場の方からのご論考を集めている。
「暴力」とは何だろう。ただ、その行為だけを見ているだけでは何も変わらない。それを取り巻く精神医療、社会全体、人間存在そのもの、といった根源的な問題からの考察が必要不可欠である。その上で、さらに「ケア」とは何か。何がケアにつながるのか、本書を通して読者一人ひとりに考え続けていただきたいと願う。
序文
1 暴力と哲学〈暴力とケア その思想〉
1 暴力概念と正当化 飯野勝己
2 言語と行為の暴力論 飯野勝己
3 コミュニケーションと意味の占有 三木那由他
4 共感と非人間化 八重樫 徹
5 精神障碍者のピアサポート活動における多声性と祝祭性,そしてミメーシス 屋良朝彦
2 当事者としての精神医療における暴力
1 精神障碍当事者からみたピアサポートの有効性及びその哲学的意義 高橋泰宏
2 当事者のリカバリーと暴力 増川ねてる
3 “ゴム印の最下行の1行の欄”でさえ軽んじられる精神科医療の状況を変えるためには 山田悠平
4 閉鎖病棟における自由と暴力 渡邊洋次郎
5 4人の母と,わたしと,精神科医療 葛木里依
3 医療福祉における暴力の周辺
1 身体拘束と「暴力」 長谷川利夫
2 対人支援者の暴力,対人支援者の傷つき 高木俊介
3 滝山病院事件から精神科病院での暴力を考える 横田 泉
4 自立支援ビジネスにおける暴力の構造的背景 斎藤 環
5 〈痛み〉の社会モデル 高橋慎一
4 精神科における看護ケアと暴力
1 トラウマがもたらす暴力性に配慮したケア 木田塔子
2 精神看護学教育の場で権力によってもたらされる暴力現象について 木下愛未
3 精神看護と暴力とケア 下里誠二
あとがき