香川千早は皆川藩三万石江戸家老の娘。女だてらに剣術指南役を務める美形の女丈夫だ。ある日彼女は、お詣りに参じた浜町の神社で不思議な男に出会う。男は葵の紋の手拭いを持ち、どうやら水戸徳川家の縁の者らしかった。だが徳永丈二と名乗ったこの男、実は二百年先からやってきた時の迷い人。剣道に長け、奇妙なからくりを扱う彼の不思議な雰囲気に魅せられた千早は、初物を捧げることを決意して…。美貌の姫や妖しい素破に囲まれて、奇妙で淫らな日々を送る丈二だが、そんな彼を思いがけない結末が待っていた。(「つやめき蜜姫」)病弱で子が成せない若殿の跡継ぎ問題を、摩訶不思議な淫法で解決する「くノ一妊法帖」と二本立て。オリジナル傑作時代小説。