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タイトル |
混淆する戦前の映像文化(コンコウスルセンゼンノエイゾウブンカ) |
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戦前の日本には、映画館以外の場所で利用された「非劇場型」の映像機器が多種多様に存在していた。ときに家庭の娯楽として、ときに学校や宗教施設で教育目的に受容されていたそれらは、今では衰退し忘れ去られて久しい。
本書では、その実態を掘り起こすため著者自身が十数年にわたって調査・分析し、撮影した明治〜昭和(戦前期)のスライドやフィルム、映写機器等の一次資料を豊富に組み込み、戦前期日本で幻燈や玩具映画、齣フィルム、小型映画などの雑多なメディアが入り混じりながら技術的・産業的に発展・回帰・衰退していくさまを明らかにする。
デジタル一元化の時代に、傍流として置いてきた「異形」の数々を拾い上げる「メディア考古学」的実践の書。
はじめに メディア考古学という方法
第1部 映像メディアの大衆化ー幻燈全盛の時代
第1章 社会教育ツールとしての幻燈ー鶴淵幻燈舗を中心に
1 国家教育と幻燈
2 通俗教育と鶴淵幻燈舗の事業
第2章 布教活動としての幻燈ー中島待乳と池田都楽を中心に
1 キリスト教幻燈と中島待乳
2 仏教幻燈と池田都楽
第3章 口演童話「お伽噺」と幻燈ー雑誌『少年世界』の幻燈利用
1 少年世界幻燈隊と鶴淵幻燈舗
2 少年幻燈隊の活動
第2部 子供たちの映像文化ー玩具映画全盛の時代
第4章 幻燈から活動写真のはざまー家庭用映像機器広告にみる混淆
1 幻燈から活動写真へー水平走行アニメーションを中心に
2 『少年世界』掲載の過渡的視覚玩具
第5章 視覚玩具文化とその流行
1 大阪花街の視覚メディア文化
2 齣フィルムの流行
第6章 玩具映画の産業構造
1 乱立する玩具映画会社
2 子供の玩具映画体験
第3部 アマチュア映画と教育映画のナショナリズムー小型映画全盛の時代
第7章 フランス小型映画の世界市場戦略と日本
1 フランスにおけるパテ・ベビー産業
2 日本における9ミリ半映画
第8章 混淆する小型映画の栄枯盛衰ー国家統制の陰
1 大阪ベビー・キネマ・クラブと大阪朝日新聞社
2 ホーム・ムービーズ・ライブラリーと大阪毎日新聞社
第9章 「教育映画」から「文化映画」、そして幻燈復活へ
1 「社会教育」映画から「学校教育」映画へ
2 戦時期統制下の幻燈復活
おわりに