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タイトル |
量子力学入門(リョウシリキガクニュウモン) |
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本書では、量子力学の入門書として、その魅力や面白さを伝えることを第一に考えた。量子力学の面白さは何といっても、その謎解きの物語にあり、直感とは相容れない不思議な現象の数々を先人たちが一つずつ解き明かしていく様を見ることは、どんな推理小説にも負けない、最高の知的エンターテインメントといえよう。
さらに、その謎解きの物語を通して、先人たちの創意工夫を学ぶことにも注力した。標準的な量子力学のテキストは、量子力学に関する知識を速やかに吸収し、学んだことを様々な問題に応用できる人材を養成するには適しているかも知れない。しかし、既存の概念を覆し、新しい概念を生み出すような創造的な仕事を成し遂げるための訓練という観点からは、歴史的な経緯に沿って学ぶというアプローチも効果的と考えた。したがって本書は、量子力学の初学者はもとより、すでに一通り学んだことのある方々にとっても、きっと新たな視点を提供できるであろう。
本書の読者の中から、既存の概念を覆し、新しい概念を生み出す、真の開拓者が現れることを心より願っている。
1.量子の誕生
2.前期量子論
3.量子力学の誕生 〜行列力学〜
4.量子力学の展開 〜波動力学〜
5.量子力学の深化 〜統計的解釈と不確定性原理〜
6.スピンと排他原理から原子の構造へ
7.相対論的量子力学