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タイトル |
ビデオのメディア論(ビデオノメディアロン) |
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1960年代以降から広がり始め、70年代から80年代にかけて爆発的に普及したビデオ。放送技術、教育、音楽、アニメ、レンタルなどの事例から、私たちの映像経験を大きく変えたビデオの受容過程とその社会的な意義、そして忘却されたビデオの可能性を掘り起こす。
序 章 ビデオのメディア論に向けて 永田大輔/近藤和都/溝尻真也/飯田 豊
1 拡張する映像文化とビデオ
2 映像の文化社会学から、ビデオのメディア論へ
3 拡散するビデオ研究とその体系化の困難
4 ビデオの普及/利用をめぐる歴史社会的文脈
5 本書の視角と限界
6 本書の構成
第1部 ビデオのメディア考古学
第1章 放送技術からニューメディアへーー一九五〇-六〇年代における「ビデオ」概念の拡張 飯田 豊
1 ビデオとはテレビである
2 放送技術としてのビデオテープーー初期の放送用VTRの利用
3 作り手と送り手の分離ーー番組制作会社の誕生
4 ビデオはテレビではないーーコミュニケーションのためのニューメディアへ
5 「ビデオ・パッケージ旋風」--視聴者のためのニューメディアへ
第2章 ビデオにおける「教育の場」と「見ること」--一九六〇年代後半ー七〇年代の業界紙「ビデオジャーナル」にみる普及戦略を中心に 永田大輔
1 ビデオ受容をめぐる諸議論
2 資料の特性
3 教育とビデオ
4 「教育」と「家庭」の距離
5 結論
第2部 ビデオの社会的受容
第3章 放送番組の保存と所有をめぐる系譜学ーー一九七〇-八〇年代の音楽ファンとエアチェック文化 溝尻真也
1 エアチェックの流行と感覚の変容
2 一九六〇-七〇年代のラジオ
3 ラジカセの普及とエアチェックの拡大
4 ミュージックビデオ番組とビデオエアチェック
5 「楽しさ」がもたらすメディア普及
第4章 「ビデオが普及すること」が作り出すファン経験の変容過程ーー一九七〇-八〇年代のアニメ雑誌を素材として 永田大輔
1 普及を経験するということ
2 一般理論としての「普及理論」
3 ビデオ普及の諸特性
4 アニメファンにとっての普及経験
5 結論
第5章 レンタルビデオ店という文化装置ーー店舗の大規模化を介した旧作ソフトの価値転換 近藤和都
1 レンタルビデオ店の生成
2 違法店から正規店へ
3 「レンタル生活様式」の形成
4 複合化・大規模化するレンタルビデオ店
終 章 ビデオのその後と現在 溝尻真也
1 「ビデオの時代」の始まりと終わり
2 デジタル化される映像
3 撮る技術としてのビデオカメラの展開
4 「YouTube」とSNSの時代にビデオを問い直す
補 論 ビデオとは何か?--その基本的な特徴と歴史 溝尻真也
1 映像記録装置としてのフィルムとビデオ
2 ビデオの基本的な特徴
3 オープンリール式からカセット式へ
4 規格統一と企業間競争