本書の目的は、Pythonエコシステムでより効率的なアプリケーションを記述する手助けをすることにあります。より効率的とは、コードが使うCPUサイクル、ストレージ領域、ネットワーク通信が少なくなることを意味します。本書では、パフォーマンスの問題に総合的なアプローチでのぞみます。ピュアPythonでのコード最適化テクニックについて説明するだけではなく、NumPyやpandasなど広く使われているデータライブラリの効率的な使い方についても検討します。Pythonでは十分なパフォーマンスが得られないケースがあるため、スピードがさらに求められる場合はCythonについても検討します。この総合的なアプローチの一環として、コードの設計にハードウェアが与える影響にも目を向け、現代のコンピュータアーキテクチャがアルゴリズムのパフォーマンスにおよぼす影響を分析します。また、ネットワークアーキテクチャが効率におよぼす影響と、高速なデータ分析でのGPUコンピューティングの使い方も調べます。