間引かれた赤子、棄てられた年寄り、不幸な者、
何かの足りぬ者、何かの多い者、憑かれた者、患った者、
暗い感情の炎に身を焼かれた者が鬼となる。
鬼、それは人が変化したもの、人の名残を残した異形。
異形ゆえに村を追われたアザコは鬼の足元を照らす特別な提灯
“童提灯”作りに没頭していった。
鬼との関わりの中で次第に彼らに惹かれていくアザコ。
見るものが見れば凄惨な、しかしアザコにとっては穏やかな日々。
だがそれも長くは続かなかった。
懐かしい友の面影を持った少年との出会いによって平穏は破られる。
アザコの出生の秘密、山に潜む邪悪な神、腐臭に満ちた百鬼夜行。
運命の糸が絡み合い、全ては繭のように閉じていく。