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タイトル |
行政と司法のもたれ合い構造を問う 伊東市都市計画道路変更決定事件 逆転勝訴の記録(ギョウセイトシホウノモタレアイコウゾウヲトウ イトウシケイカクドウロヘンコウケッテイジケン ギャクテンショウソノキロク) |
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都市計画における道路建設の決定や変更は、まちづくりの骨格となる事業であり、市民の重要な生活・生涯設計の基盤をなす出来事である。
1957(昭和32)年、静岡県伊東市は、市街地九路線の都市計画道路事業を決定。しかし、著者・島田靖久自身の実家が沿線にある、一部市道の未整備区間が、2024年現在もこの事業は放置されたままになった。沿線住民は拡張計画による自家の建築規制を長期にわたり、受け続ける現実に立たされることになった。
早期着手の希望も空しく時代の変化により計画は二転三転。その間、行政の不誠実な対応、約束の不実行、記録の改竄、ウソの報告等、に怒った住民が、都市計画道路変更決定の取消訴訟に立ち上がる。1997(平成9)年、一審地裁では被告である行政を追認、2003年、住民の訴えは棄却となる。しかし、2005年、二審の高裁で「逆転勝訴」、2008年最高裁でも行政の主張は棄却、住民勝訴が確定された。この都市計画道路の裁判で却下されずに審理が進み、住民訴訟の「勝訴」が決定したのは、日本で初めてではなかったか。
行政・司法への率直な疑問からはじまる存在的な強い怒りを土台に、対抗する緻密な情報収集、粘り強い意志の闘いの物語である。
序 なぜ本書刊行に至ったか
一章 判例依存、思考停止の司法への疑問
はじめに
1 新・都市計画法の制定と「却下」判例について
2 根拠のない「処分性無し」の法理
3 一般的・抽象的決定、対象は不特定・多数という判決理由の問題点
4 後続段階での権利回復は可能かー仙台高裁判決を事例に
5 事情判決と「公共の利益」の関係をめぐって
6 盛岡訴訟と最高裁の「受忍限度」判決
7 まとめとしてー払拭されない旧判例の残像
二章 静岡地裁の訴訟指揮/判決の問題点
はじめに
1 弁護士探しから伊東市の行政訴訟参加、「10号事件」取下げまで 弁護士探しから「10号事件」取り下げ要請、「裁量権」による棄却判決まで
2 地裁の裁判権侵害と司法不信
3 都市計画道路の「裁量権」に関する論点
4 高裁控訴のため「原判決取消の理由書」を提出
5 まとめとしてー行政と司法の「もたれ合い」を克服するために
[参考資料1] 原判決取消の理由書
三章 都市計画道路の変更内容の違法性について
実態と乖離した合理性、妥当性なきデータ操作のカラクリ
はじめに
1 計画変更の理由・その1:将来交通量と人口予測の関係
2 計画変更の理由・その2:道路構造令の解釈・運用
[参考資料2] 無理強いする行政と業者等のモラルと責任
[参考資料3] 関連の行政計画等
四章 計画変更手続における違法性
原案作成・住民説明・最終決定段階の検証
はじめに
1 原案作成段階における手続無視・違反
2 住民説明段階での手続の問題点
3 最終決定段階における手続違反
[参考資料4] 住民説明会の経過と変更決定の変遷記録
著者の面影を追って
生きた証 感謝にかえて
年表:伊東市のまちづくり・道路づくりと都市計画道路変更決定事件の経緯
《資料篇》
東京高裁 判決文
静岡地裁 判決文(一部省略)