カッシーラー(1874-1945)が渡米する前に母語のドイツ語で執筆した最後の書物(1942年刊)。人文科学と自然科学の論理は異なることを明快に論じている。科学と技術が競い合っていた1940年代、人文学固有の権利が損なわれるなかで、人文学の対象を自然科学の物差しで測れば、まったく違ったものになることを強調し、人文学独自の方法論について考察。人文学の対象とは何か、事物の知覚と表情の知覚、自然の概念と文化の概念の違い、形式的思考と因果的思考について、文化の悲劇、など人文学をめぐる多彩な主題に光を当て、人文学の豊かな可能性を検討する。