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タイトル |
図解 孫子の兵法(ズカイソンシノヘイホウ) |
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あえて死地に身を投じてみる。
どんな場合も精神論に頼らず、戦略的思考を持つ。
現代において、よいリーダーになりたい人のための指南書。
『孫子』は、約2500年前に中国の軍事思想家、孫武が記したと言われる世界最古の兵法書です。ここには、戦いに勝つため、あるいは負けないための方法が書かれています。
現代の日本人にとって、戦争は身近なものではありません。そのかわり、仕事が戦いの現場と言えるでしょう。商談もクレームも交渉も会議も、すべてが戦いのようなものと考えれば、孫子の言葉はスッと心に入ってきます。
『孫子』の特徴は、どんな場合も精神論に頼らないこと。日本人はよく「精神をしっかりすれば大丈夫」と精神論で乗り切ろうとしますが、そういうところが全くありません。目の前の出来事に対し、戦略的思考を持って動いていく。
リーダーが悪ければ、チーム全体の士気が落ちていきます。そのためリーダーが状況を把握し、最善の手を打っていくコツが『孫子』には具体的に書かれています。
『論語』は、人格を成熟させていくための柱となる大古典です。一方で現代人は戦いの真っただ中にいます。その中でストレスをなくし、ある程度の成功を収める必要もある。そこで今を生きる社会人のみなさんに『孫子』を読んでもらい、戦略的思考を身につけてほしいのです。
現代人にとって、敵とは何でしょうか。
ライバルだけではなく、社内の人間関係、顧客もうまく対応すべき相手でしょう。大きく考えれば、自分が向き合う仕事そのものが敵というふうにも考えられます。受験生にとっての敵は試験です。敵を知るためにはまず過去の試験問題を解かなくてはなりません。大学受験だけではなく、さまざまな資格試験、医師国家試験や司法試験まで、すべて同じことです。
最初に現代の戦いの場は仕事だと書きましたが、『孫子』の戦略的思考は応用の幅が非常に広いのです。人生のときどきに襲ってくる課題を敵と見なし、負けないためにどう戦うのかを考えていくことが大切です。これは人生を勝ち負けで考えるのではなく、困難をいかに克服し、ストレスを少なくして生きていくかということです。
人生において、限りなくストレスを少なくしようとすると、家にじっと引きこもって誰とも関わらないことになります。しかし、それでは人間力が育ちません。社会人としてスタートした20代、30代のうちは、あえて死地に身を投じてみる。『孫子』を意識して「死地こそ、自らを活性化させるものだ」と大変な場所に飛び込んでいく勇気が必要です。そうすれば、30代後半から40代、50代と、よいリーダーになっていけるでしょう。
(本書の「はじめに」から再構成しています)
第一章 勝つための条件
第二章 人を動かすリーダーになるには
第三章 交渉をうまく進める秘訣
第四章 困難なとき、失敗したときの対処法
第五章 チームで強くなる