著者は渡辺京二研究の第一人者。92年の生涯を通して一貫してぶれることのなかった渡辺の思想と歴史認識はどこから来るのかを基本的かつ意外な観点から教えてくれるのが本書だ。この偉大な思想家は、歴史を叙述するにしろ、発言するにしろ、ひとつの新しい事実や解釈を自らが生きるための支えとして研究し叙述し公表した。『小さきものの死』から『逝きし世の面影』さらに『小さきものの近代』まで、〈近代〉の実像を描こうとした数々の名著の舞台裏を、さらに具体的に案内してくれる画期的な一冊。
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第 一 章 幸福な少年期とその終焉
第 二 章 大連、そして世界の終わり
第 三 章 共産党体験と思想の目覚め
第 四 章 闘病体験と若き日の恋
第 五 章 小さきものの挫折
第 六 章 吉本隆明と谷川雁
第 七 章 水俣病闘争と「もうひとつのこの世」
第 八 章 時局論
第 九 章 処女作『熊本県人』
第 十 章 『ドストエフスキイの政治思想』
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第十一章 神風連ー反近代の極北
第十二章 西郷隆盛ー明治帝国への反抗者としての西郷
第十三章 宮崎滔天ーアジア主義を脱した民衆コミューンへの夢
第十四章 北一輝ー日本についに着地できなかった純正ファシスト
第十五章 昭和の逆説ー民衆が夢見た戦争共同体
第十六章 地方の消失と辺境の解体
第十七章 なぜいま人類史か(1)-師、佐藤秀人との出会い
第十八章 なぜいま人類史か(2)-歴史主義の擁護とポストモダンとの闘い
第十九章 パステルナークとソルジェニーツィンーロシアにおける小さきものの生
第二十章 ローレンツとイリイチ
第二十一章 石牟礼道子と神話の復権
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第二十二章 逝きし世の面影ー滅び去った文明
第二十三章 パックス・トクガワーナの多彩な人々
第二十四章 戦国乱世と徳川の平和ー「中世の自由」の虚妄を撃つ
第二十五章 黒船前夜ーありえたかもしれないもうひとつの「開国」
第二十六章 バテレンの世紀
第二十七章 小さきものの近代ーもうひとつの「近代」