それは春の宵のようにはかなくかなしい
苦悩や悲しみが癒されるわけでもないのに
酒を飲まずにいられない人々。
切ないまでの愛と絶望を綴る七つの短編。
酩酊の先に見えてくるのは、ミルク色の濃霧のなかで浮かび上がってくる、あのときの、あの人との記憶。ここに描かれているのは、思い出したくはない、けれど、思い出す必要がある、それを抱えながら生きていなかければならない「私」の生の痕跡。
ーー窪美澄
(第2回出版社合同韓国文学フェアPOPより)
生まれてまもない子どもを別れた夫の家族に奪われ、生きる希望を失った主人公ヨンギョンが、しだいにアルコールに依存し、自らを破滅に追い込む「春の宵」。別れた恋人の姉と酒を飲みながら、彼のその後を知ることになる「カメラ」。アルコール依存症の新人作家と、視力を失いつつある元翻訳家が出会う「逆光」、十四年ぶりに高校時代の友人三人が再会し、酒を飲み、取り返しのつかない傷を負うことになる「一足のうわばき」など、韓国文学の今に迫る七つの短編を収録。初邦訳。
春の宵
三人旅行
おば(イモ)
カメラ
逆光
一足のうわばき
層