|
タイトル |
「お静かに!」の文化史(オシズカニノブンカシ) |
|
芸術と出会う場所、美術館。
その鑑賞はどのような環境で行われるのが望ましいのだろうか。
「お静かに!」と言わざるを得ない環境に関わるすべての方に。
作品にじっくりと向き合い、それを味わったり理解したりするための〈沈黙〉か〈静粛〉か。
それとも〈語らい〉や〈対話〉のある空間か。
作品の鑑賞にとっては、どちらが、より好ましいだろうか。
あるいは、どちらがより「正しい」のだろうか。
本書は、美術作品の鑑賞という営みと、「声」や「会話」との関係について考えます。「お静かに!」の背後にひろがる諸問題についてです。
〈沈黙〉や〈静粛〉か。〈語らい〉や〈対話〉か。
対立させて考えるのではなく、両者に真摯に向き合い、人間にとっての根源的な欲求である美術鑑賞、その空間を考えます。
美術館だけではなく、図書館、劇場、コンサートホールなど、公共性のはざまで揺れながら考える人に。ぜひお読みいただきたい本です。
【熟視し、黙想し、芸術作品の深みへと沈潜していくこと。
対話し、ときには笑い合い、隣にいる人たちとのコミュニケーションを含めて作品を楽しむこと。
人は、その両方を求めてきたし、今日も求めているのではないか。芸術作品はこれまでその両方の求めに応じてきたし、現在も、そして未来も、応じ続けていく力を備えているのではないか。だからこそわたしたちは、二つの営みのどちらにも、真摯に目を注いでみる必要があるのではないだろうか。】……「はじめに」より