世俗のしがらみを拒絶し、学問に打ち込んだ道元。自力の修行を拒み、非僧非俗で平然と妻帯をした親鸞。学生時代に著者は道元には惹かれたが、親鸞に対してはためらいを感じた。親鸞はこうして封印されたー。ところが後年、戦地と占領地で、人間の巨大な悪を目にしたとき、著者の前に再び親鸞が立ち現われてきた。自分の意志で手にとったのではなく、親鸞が接近してきたのだー。親鸞思想に向かい合うことの現代的意味を問う、思考の運動の軌跡。『歎異抄』『教行信証』を独自の視点で読み解くとともに、三木清、三國連太郎、吉本隆明を通して、親鸞思想の現代的意味を問う!