父親が亡くなり、遠くの町へ引っ越すことになった。母親の仕事や二人の住むところを探すために、今日は電車に乗って引っ越す町を見にいく。母親が切符を買っているあいだ、少女はカラスを見ながら待っている。木からいっせいにカラスが飛びたつ。少女には、愛するものを失う木の気持ちが痛いほどよくわかる。すると、少女の心に、父親の思い出が次から次へとよみがえってきた。さびしさとは何か?死とは何か?モノローグで語られる少女の孤独、そして、新しい生活への不安と期待。香り高い絵と文章で読者を深い世界へと誘う渾身の作品。フィンランディア・ジュニア賞受賞作。