|
|
特集 「新しい資本主義」と労働の未来
岸田政権が「新しい資本主義」を掲げて、半年が経過した。いまだにその全貌は明らかになっていないが、このスローガンの背景には、資本主義の行き詰まりに対する経済界の危機感が滲み出ていると言えよう。
現在、資本主義や労働のあり方が急速に変化している。世界的には「デジタル封建制」や「グリーン・ニューディール」が叫ばれ、その一方で「ジョブ型」の課題や「アンダークラス」の拡大が露わになっている。
そんななか、日本の労働運動は、「資本主義」を焦点化できず、長期的な社会のビジョンを失ったままだ。目先の「分配」に終始し、日本型資本主義を懐古してすらいるのではないだろうか。
折しも、2021年末に出版されたPOSSE代表・今野晴貴による『賃労働の系譜学』は、資本主義と労働の変容を踏まえた労働運動論を提起している。そこで本特集では、同書を題材に、労働運動における「新しい資本主義」を乗り越える展望を構想していきたい。
◆特集 「新しい資本主義」と労働の未来
ジョブ型を越える労働運動でコモンを再建する道
斎藤幸平×今野晴貴
資本主義の支配と競争を乗り越えるために
廣瀬純×今野晴貴
著者解説 『賃労働の系譜学』
今野晴貴
「新しい資本主義」における「階級政治」
橋本健二
岸田政権の「分配」が、保育職場を分断させる?
ーーケアワーカーの自律性を奪う「処遇改善」の罠
三浦かおり
◆ミニ企画 家あってあたりまえでしょ!--運動のなかで見えたこと
「家あってあたりまえ」私たちが社会を動かした4日間の記録
岩本菜々
当事者とともに声をあげ、生存権のために闘う反貧困運動を!
ーープロジェクトを率いたZ世代座談会
岩本菜々×田所真理子ジェイ×土橋幸奈
生活保護はなぜ忌避されるのか
ーー現代に生き残る劣等処遇
今岡直之
◆連続
『資本論』体系と資本主義システムの形態変化(1)
佐々木隆治
◆単発
私立通信制高校の拡大を通じた教育の市場化
ーーN高との「教育の質」をめぐる闘い
佐藤学
カンボジア人技能実習生の「強制帰国」事件の解決とその意義
ーー送り出し国の労働運動による支援に着目して
青木耕太郎
『鳥は飛ぶのが楽しいか』刊行記念対談
「ヘル朝鮮」労働小説に見る韓国と日本
枝元なほみ×吉良佳奈江
◆連載
My POSSEノート page12
社会運動という希望に出会って
古瀬菜々子
LGBTQと労働運動の交差点 第6回
トランスジェンダーとトイレ
遠藤まめた
映画のなかに社会を読み解く 第8回
陰謀論 『ドント・ルック・アップ』『コンタクト』『ファイト・クラブ』
西口想×河野真太郎
スポーツとブラック企業 第11回
“BIG BOSS”新庄剛志をめぐる曖昧な心情
北海道日本ハムファイターズは「明るく楽しいブラック企業」になるのか?
常見陽平