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タイトル |
中世王朝物語の新展望(チュウセイオウチョウモノガタリノシンテンボウ) |
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物語文学にまつわる多様なテーマを、新たに中世王朝物語から切りひらく!
物語の生成と享受の場を復元し、日本文化に占める作り物語の位置を把捉する。
気鋭の22名による書き下ろし。対象物語数20作品以上。
はじめに
1 中世王朝物語と時代
『無名草子』の老尼が見た時代──中世王朝物語始発期の一断面──……西本寮子
『浅茅が露』の成立環境──北山の聖の自己語りを起点として九条家の周辺に及ぶ──……桜井宏徳
『藤の衣物語絵巻』に描かれた場と時代背景──あそびの宿・修学院・高野山について──……伊東祐子
『夢の通ひ路物語』の成立について再考──頭注は手がかりになり得るか──……安道百合子
2 中世王朝物語と和歌
『とりかへばや』和歌表現に見られる時代性──後撰和歌集六七九番歌受容を支点として──……片山ふゆき
中世王朝物語の引歌表現──その〈歌撰び〉の概要──……萩野敦子
『建礼門院右京大夫集』の物語性……小島明子
3 中世王朝物語と物語受容
『狭衣物語』から『山路の露』へ──〈その後〉をひらく物語──……小川陽子
「宮の御方」の物語の源流と展開──『在明の別』の「対の上」の物語との関係を中心に──……辛島正雄
『有明の別れ』における『狭衣物語』〈引用〉論序説──作品後半の検討を通した〈主人公〉のあり方の問題提起──……松浦あゆみ
実の親を知る后妃──『在明の別』『いはでしのぶ』における「明石姫君」摂取──……宮崎裕子
『いはでしのぶ』における「面影」──付、中世における平安時代作品の享受の様相
──……勝亦志織
『木幡の時雨』〈同母姉妹〉の物語としての一様相──『夜の寝覚』との関連をめぐって──……伊達舞
悲恋の物語としての『しのびね物語』『しぐれ』──長恨歌周辺の説話から『源氏物語』、そして「しのびね型」へ──……大槻福子
4 中世王朝物語の主題と方法
『古とりかへばや』は駄作か……中島正二
『松浦宮物語』にみる終端技法──跋文に関する私考──……井真弓
『松浦宮物語』終結部の氏忠──「契り」の自覚──……金光桂子
『しづくににごる』考──一品宮と尚侍──……関本真乃
『むぐら』の姉妹──紐帯としての役割──……毛利香奈子
『我身にたどる姫君』の完結性──巻八・新帝への予言をめぐって──……横溝博
5 中世王朝物語と絵画
「紅の袴」が表象するもの──『堤中納言物語』「虫めづる姫君」の「白き袴」 序説──……馬場淳子
奈良絵本『花世の姫』伝来考──鹿田静七蔵本から広島大学蔵本への展開──……妹尾好信
あとがき
執筆者紹介