これまでのアルゲリッチの名演を映像で振り返る 2021年6月に80歳を迎えたアルゲリッチ。それを記念して「EURO ARTS」からリリースされたアルゲリッチの映像集DVD6枚組。当セットは、ドキュメンタリー『Bloody Daughter』を収録したインターナショナル・バージョンです（2021年リリースの2068485は廃盤となります）。 　ディスク1には、娘たちの視点で捉えたアルゲリッチの日常、音楽家として母としての葛藤と苦悩が綴られたドキュメンタリー映像『Bloody Daughter』。 　ディスク2は、2010年のショパン・イヤーにワルシャワでおこなわれたコンサートを収録したもの。カスプシク指揮するシンフォニア・ヴァルソヴィアと共演した記念演奏会にふさわしい豪華なコンサート映像。 　そしてディスク3は、1977年にBBCが制作した貴重な映像。当時35歳のアルゲリッチが得意のチャイコフスキーとプロコフィエフの第3協奏曲を弾くという魅力的な内容です。何より若いアルゲリッチの輝くような姿に目を奪われます。唖然とする指回りと速いテンポ、強靭なのになめらかな打鍵の美しさ、とてつもないエネルギーとオーラの発散に息もつけぬ1時間を満喫できます。 　さらにディスク4は、2014年、マルタ・アルゲリッチとダニエル・バレンボイムがお互いの故郷であるブエノスアイレスのテアトロ・コロンで初めて2人揃っておこなったコンサートの模様。ダニエル・バレンボイムによって創設されたウエスト＝イースタン・ディヴァン・オーケストラを率いて行われたコンサートは、ブエノスアイレスの人々の熱烈な拍手と歓声で迎えられました。当初2枚組でリリースされていた商品ですが、今回収録しているのは、アルゲリッチ、バレンボイムによるピアノ・デュオ・ライヴのみ。 　続いてディスク5は、2020年2月にベルリンのピエール・ブーレーズ・ザールで行われた、元ベルリン・フィルのコンサートマスターで現在はソロとして活躍するガイ・ブラウンシュタインとのデュオ・リサイタルの映像。 　最後は、クラウディオ・アバドがベルリン・フィルの定期演奏会で取り上げた「プロメテウス」神話に基づく様々な作曲家による作品が収録されたライヴ。「プロメテウス神話」とは、ギリシア神話の神プロメテウスが人間に火を与えたとしてゼウスの怒りを買い、不死身のプロメテウスは永遠にハゲ鷹に腹を割かれ続けるという処刑を受け、それを勇敢なヘラクレスがハゲ鷹を殺してプロメテウスを救うという内容。映像監督のクリストファー・スワンは照明等を駆使した視覚的効果を巧みに使い「火」「炎」を表現。ベルリンのフィルハーモニーホールが赤、黄色、緑、青と変幻自在に染まっていく様子は必見です。 　アルゲリッチはスクリャービンの交響曲第5番『プロメテウス』でピアノ・ソロとして登場。神秘主義に影響され、色彩への強い関心をもち、音楽に色彩をも取り込もうとしたスクリャービンの作風が最も色濃く投影された曲。大編成のオーケストラとヴォカリーズによる混声合唱、そして独奏ピアノのために作曲されました。アルゲリッチの神秘的で魅惑的な演奏にも注目です。 【収録情報】Disc1（94分） ● ドキュメンタリー：『マルタ・アルゲリッチ　Bloody Daughter』 　監督：ステファニー・アルゲリッチ 　2012年／フランス・スイス 　字幕：英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポーランド語Disc2（54分） 1. ショパン：ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11 2. ショパン：マズルカ ハ長調 Op.24-2 3. シューマン：幻想小曲集 Op.12-7『夢のもつれ』 　マルタ・アルゲリッチ（ピアノ） 　シンフォニア・ヴァルソヴィア（1） 　ヤーチェク・カスプシーク（指揮：1） 　収録：2010年8月27日、ワルシャワ・フィルハーモニー・コンサートホール（ライヴ） 　映像監督：ピエール＝マルタン・ユバンDisc3（62分） ● チャイコフスキー：ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23 　マルタ・アルゲリッチ（ピアノ） 　ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団 　サー・チャール レーベル : Euroarts 色彩 : カラー 信号方式 : NTSC リージョンコード : ALL 組み枚数 : 6 Powered by HMV