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タイトル |
レディオ・バードマン/ディセント・イントゥ・メールストロム(レディオ バードマン ディセント イントゥ メールストロム) |
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”迎合せず進路変更”、これがオーストラリア流。南半球でMC5、ストゥージズなどのデトロイト直系の
荒々しさと世界一の騒々しさを轟かせ、そして外科医が率いるバンド、レディオ・バードマンの軌跡。
1974年結成、MC5やストゥージズなどのデトロイト直系の荒々しいサウンドとラモーンズのシンプルさ、
そして特有の哀愁漂う絶妙なメロディセンスでオーストラリアのロックンロールを世界に知らしめた
レディオ・バードマンの活動の軌跡を描くドキュメンタリー映画『レディオ・バードマン/ディセント・イントゥ・メールストロム』。
なかなか日本ほか欧米にも情報が伝わりにくいオーストラリアのロックの地平を切り開いたバードマンのすべてを曝け出す、貴重な作品だ。
レディオ・バードマンはMC5やストゥージズが活動していた米国ミシガン州出身のデニス・テックを中心に結成。
バンド名はストゥージズの楽曲「1970」の歌詞がもとになっている。
「ロックスターなんでゴメンだ」「音楽業界との闘いを続ける」など、徹底的にDIYを貫き、他人にコントロールされずに、
商業的な意識を持たず、ひたすら楽曲とライヴに集中してきたバンド。
70年代にアジトとして使っていたライヴハウス、FUNHOUSEには「おしゃれ人間お断り」と書かれるなどロック、音楽の本質に向き合ってきた。
映画では彼らメンバーの出会いからニック・ケイヴやセインツなどのオーストラリアを代表するアーティストとの確執、
サイアー・レコードのシーモア・スタインとの契約、欧米でのツアー、そして90年代後半の復活から現在まで、その知られざる活動を振り返る。
出演は各メンバーと近しい人間のみ。本人たちの言葉と貴重な写真やライヴ映像ですべてを描き切る。
ドキュメンタリー映画としての作りはジム・ジャームッシュがストゥージズを描いた『ギミー・デンジャー』に近いかもしれない。
だが特筆すべきはレディオ・バードマンはその時々で異なるが、5人組、6人組のバンド、メンバーチェンジ、メンバーの復帰などを繰り返してきた。
劇中ではそれぞれのメンバーの証言、想いが個々で語られ、それが中心人物に偏ることなく公平かつ均等に配置され、
メンバー間の不仲なども何も隠すことなく描かれることだ。
特にすごいのは、一部のメンバーは「彼とは話してない。電話もメールもしてない。今後も話すことはないだろう」と発言、それがそのまま作品に反映されている。
そんな赤裸々な証言の数々が飛び出す本作を観れば、音楽という芸術は友情より優先されるのか、ということを考えずにはいられないだろう。
バンド結成の経緯はバンドそれぞれで異なるが、何かで結びついたバンドメンバーとの絆、音楽に向き合う姿勢など、
バンドのみならず共同体として何らかの活動をしている者にとって多くの心に響く言葉が散りばめられている。
なお、余談ではあるがデニス・テックは医師であり、元アメリカ海軍・海兵隊の飛行外科医。
テックの海兵隊でのコールサインは<ICEMAN>。
80年代ハワイに駐留中、映画『トップガン』を準備中のプロデューサー他スタッフがテックの隊と数週間を過ごしている。
<収録内容>
・画面サイズ:16:9
・音声:ルビーデジタル/2.0ch
・字幕:日本語字幕
▽特典映像
・オリジナル予告編
・UNDERDOCS予告編
<キャスト>
RADIO BIRDMAN
<スタッフ>
監督:ジョナサン・セクエラ
©LIVING EYES PTY LTD 2018