聞こえるか・・・。 ノイズの彼方で彷徨う魂の混線が,観る者の心を引き裂く。 あまりの哀しみに途方に暮れる孤高の一作、国内初ディスク化。 思わず心を引き裂かれる。忘れられない映画体験だ。　--スティーヴン・ソダーバーグ　 圧倒的な表現と誠実さに、完全に打ちのめされた。　--ダーレン・アロノフスキー　 あなたの精神に永遠に深い傷跡を残すだろう。　--ジョン・ウォーターズ ロッジ・ケリガンが初監督作として1993年に発表した、ノイズにまみれた唯一無二の映像表現で観る者を哀しき虚無に突き落とす衝撃作。 抑制されたトーンのなか映し出される主人公の目を覆う行動は、凄まじい疲労感を与え、鑑賞自体が拷問と言われる。 そのやりきれなさは一生脳裏にこびりつき、離れることはない。主演に性格俳優として知られる『パルプ・フィクション』(94)、『ユージュアル・サスペクツ』(95)のピーター・グリーン。 米国コロラド州テルライド映画祭でワールドプレミア後、カンヌ映画祭の“ある視点”部門やサンダンス映画祭に正式出品、 スティーヴン・ソダーバーグ、ダーレン・アロノフスキー、ジョン・ウォーターズら錚々たる監督たちが忘れがたき表現性の高さを絶賛。 日本の初公開は1996年のレイトショー。25年後の2021年8月に突如リバイバル公開が行われ、精神的に病理を発症した者を主人公に据えた作品を、物語として、一人の人間として、改めて冷静な視点で再評価する機会を得た。 そして観た者はふたたび怪電波の洪水に溺れ、見えざる者からの視線や思念に慄き、あらゆる可能性に怯え、途方に暮れた。 『クリーン、シェーブン』は心が死んでいる者と、そうでない者を通してこの世の不条理を見つめる、鮮烈で哀しく、残酷な一作である。