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タイトル |
男はつらいよ・寅次郎恋歌(オトコハツライヨ トラジロウコイウタ) |
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幾多の涙を乗り越えて、迷惑以上の歓びを与えながら、今日も寅さんは旅に出る。
日本人の人情、その侘・寂を体感させるシリーズ第8作。
旅一座との交流を経て葛飾柴又に帰ってくるや、
早速周りに迷惑かけ通しの寅さん(渥美清)の耳に、妹さくら(倍賞千恵子)の歌声が悲しく響く…。
『男はつらいよ』シリーズ第8作は開巻早々どこか侘しさを帯びており、呼応するかのように今回は博(前田吟)の母が逝く。
帝釈天の横で喫茶店を開業した今回のマドンナ貴子(池内淳子)も、夫に先立たれた子連れ未亡人。
また、TVシリーズからおいちゃんを好演してきた森川信は、惜しくも本作が遺作となった。
「バカだねえ!」など、この名優ならではの切れのいい名台詞の数々が、これを最後に聞けなくなるのも寂しい限り。
しかし、寅さんは独りになった博の父(志村喬)の、そしてマドンナとその子供の寂しい心を癒す。
今や美女が現れるだけでおっかなびっくりの柴又庶民だが、寅さんは迷惑以上の歓びも実は与えている。
だからこそ、いつもとは異なる恋の結末も、観る者に深い余韻を残してくれるのだ。